サピエンス全史は、認知革命、農業革命、科学革命という3つの人類史上大きな革命の観点から、人類・ホモサピエンスの歴史について解説した本。それぞれの革命の概要は以下のとおり。
- 認知革命:伝説、神話、宗教等、全く存在しないものについて情報を伝達できるようになったこと(約3~7万年前)
- 農業革命:野生の動植物を食料とするのではなく動植物を自ら育てるようになったこと(約1万年前)
- 科学革命:無知であることを自覚し、科学研究により無知を克服することで自らの能力を高められると信じようになったこと(約500年前)
目次は以下。概ね上記3つの革命に対応して部が構成されている。
- 第1部 認知革命
- 第1章 唯一生き延びた人類種
- 第2章 虚構が協力を可能にした
- 第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
- 第4章 史上最も危険な種
- 第2部 農業革命
- 第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
- 第6章 神話による社会の拡大
- 第7章 書記体系の発明
- 第8章 想像上のヒエラルキーと差別
- 第3部 人類の統一
- 第9章 統一へ向かう世界
- 第10章 最強の征服者、貨幣
- 第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
- 第12章 宗教という超人間的秩序
- 第13章 歴史の必然と謎めいた選択
- 第4部 科学革命
- 第14章 無知の発見と近代科学の成立
- 第15章 科学と帝国の融合
- 第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
- 第17章 産業の推進力
- 第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
- 第19章 文明は人間を幸福にしたのか
- 第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
今回は、特に印象に残った「第4部 科学革命」についてまとめる
第4部 科学革命 の内容
- 科学革命以前の人類は、自らの努力により能力を高め、困難を克服できるとは思っていなかった。困難を乗り越えられるかどうかは神に祈るしかなかった。
- 科学革命により、無知であることを自覚し、科学研究により無知を克服することで自らの能力を高められると信じようになったことで状況は激変した。
- 宮殿や美術品に資金を費やすのではなく、将来のために科学技術に投資をするようになった。経済活動は、それまで限りあるパイの奪い合いとしてネガティブにとらえられていたが、パイを拡大させるものとポジティブに認識されるようになり、大いに推進された。経済活動により得た資金は更なる投資に回され、経済は加速度的に発展した。
他にもアメリカ大陸進出の話、蒸気機関の発明に関する話等非常に多様な内容だけど、ざっっっくりまとめるとこんな感じ。
感想:「自分は頭がよくないから無理」は本当か?
人類の科学の進歩が、自分たちの可能性を信じるところから始まった、というのはなんだか元気のでる話ですね。 「自分は頭よくないから」とか「センスないから」 とか言って自分の可能性に縛りをかけちゃう人ってたくさんいますからね。
もったいないなと思いつつ、本当に無理なのかもしれないから「やったらできるかもしれないじゃん!やってみよう!」って言うの無責任かなと思ってたんですが、人類という種自体が、進歩を信じることで農業革命と並ぶような大革命を起こしたのだと思うと、個人にとっても、進歩を信じることは絶対に意味があるはずだな、と自信を持つことができた。
「どうせ無理だろう」と思うのではなく、「きっとできる。どうしたらできるだろう」と考えるようにしたいものだ。
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