良い失敗をするコツの二つ目は、「本気で望むこと」です。単純な精神論に聞こえるかもしれませんが、非常に微妙なニュアンスを含む言葉なので、そこのところをご説明していきたいと思います。
「失敗をおそれない」と「失敗してもいいや」は違う
一つ前の記事で書きたように、失敗をおそれてチャレンジを避けてはいけません。
しかし、チャレンジするかどうかの決断をするときは失敗をおそれずに行うべきですが、一度チャレンジすることを決めたならば、必ず成功させるという意気込みで望まなくてはなりません。
「ダメで元々、失敗しても仕方ない」という思いで望んだチャレンジは、必ず失敗します。
しかも、何も得ることがありません。
前に書いたように、失敗は、なぜ失敗したかを考え、次のチャレンジにその反省を活かしてはじめて価値のあるものになります。
しかし、仮に本気で取り組まなかったとしたら、反省をしようとしても「本気出せばうまく行ったのではないか」と考えてしまい有益な示唆が得られません。今できることを尽くしたからこそ、今何が足りていないのかがわかるのです。投資の失敗から何も教訓が得られないのならば、そこに費やした時間と資金は完全に無駄です。
また、本気だからこそ失敗が心の底から悔しく、必ず次はうまくやってやるという気持ちが湧いてくるのです。失敗を次に活かすには、理論面だけでなく感情面でも、本気でチャレンジすることは大切です。
「必ず成功させる」という覚悟と「必ず成功する」という楽観は違う
ビジョナリーカンパニー2の中の私の好きなエピソードを紹介します。
第4章「最後にはかならず勝つ」の最後に書かれている「ストックデールの逆説」です。
この言葉はジム・ストックデール将軍に由来しています。彼は、ベトナム戦争時に捕虜収容所に入れられ、アメリカ軍人捕虜の責任者として、8年もの間、できる限り多数の捕虜が生き残れるよう仲間と協力し、鼓舞し、収容所と戦った人物です。
8年に渡る捕虜生活を乗り越えた彼に、ビジョナリーカンパニー2の著者であるジム・コリンズは、いつ出られるのか、そもそも出られるかどうかもわからない中で、どのように苦境に対処したか尋ねました。するとストックデール将軍は次のように答えました。
続けて、ジム・コリンズは「耐えられなかったのは、どういう人ですか。」と尋ねました。それに対する答えは以下のようなものでした。
信じるだけでは変わらない
世の中には、「願えば必ず叶う。」というようなことを言って回る、都合のいい人たちもいます。しかし、信じただけでは何も変わりません。
引き寄せの法則に関する本もいっぱい出てますが、あれは少し都合の良いようにとらえられてしまっているように思います。
引き寄せの法則は本来「本気で望めば潜在意識にその願望が刷り込まれる。そうすれば無意識に行動も変わり、望みが叶う。」という理屈です。つまり、直接的に望みを叶えているのは行動であり、願いながらただ待ってるだけで望んだものが手に入るというような都合の良い話はないのです。
成功を収めたいのであれば、単に成功を願うだけでなく、それ相応の努力は必要なのです。
まとめ
まとめますと、
・失敗をおそれずにチャレンジをするが、やるからには必ず成功させるつもりで手を尽くす。
・単に成功を信じるだけでなく、待ち受けているであろう困難を十分に認識しつつ、それを乗り越えるという覚悟を持つ。
ということですね!
本日はこの辺で。
参考書籍
ビジョナリー・カンパニー 2 – 飛躍の法則
非常に多く読まれているビジネス書で、上記の「ストックデールの逆説」が書かれています。分厚いわりに読みやすくおすすめですが、第4章のほかにも、第5章「単純な戦略ー針鼠の概念ー」や第7章「新技術にふりまわされないー促進剤としての技術」、第8章「劇的な転換はゆっくり進む-弾み車と悪循環」あたりは特におすすめです。