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「いい失敗」のコツ①:失敗から学ぶ

はじめに

失敗は、なぜ失敗したかを考え、次のチャレンジにその反省を活かしてはじめて価値のあるものになります。

そのようなわけで、本日は、失敗をした場合の効果的な反省の方法をご紹介します。

失敗の原因3分類

投資の失敗につながる意思決定のミスというのは、大抵次の3つのどれかが原因になっています。

1.知識の不足
2.検討の不足
3.重要性の誤認

例えば、あなたの会社Aが新たにXという製品を開発して売り出したところ、Xよりも性能は劣るがXよりも安い、B社の製品Yとの競争に負け、失敗したとしましょう。

この場合、
そもそも製品Yを知らなかったのだとしたら「知識の不足」
Yの存在は知っていたが、性能だけで比較し、製品Xの方が製品Yよりも性能が良いため勝てると判断した場合には「検討の不足」。
価格も考慮してYに勝てるか検討したが、「ユーザーは価格よりも性能を重視するはずだから、Yには勝てる。」と判断し投資に踏み切った場合には「重要性の誤認」です。

この3つの失敗の原因は、それぞれ対策が異なるため、失敗した場合にはどれが原因なのか分析することが有用です。(ちなみにこの分類は私が普段使っているもので、何かの本や研究からの引用ではないため悪しからず。)

原因分析の注意点

3つのうちどれが原因だったのかを検討するときには、容易に「知識の不足が原因」だと結論付けないように気を付けてください。
というのも、情報は常に足らないものだからです。

例えば上のケースで、その製品Yが長らく市場のトップシェアを占めている有名商品だとしたら、 「製品Yを知らなかったことが失敗の原因」という分析は正しいですし、意味があります。この場合には、「次に新製品を売り出すときは、現在の市場トップシェア商品を分析することにする。」というような次に活かせる教訓が得られます。

しかし、もし製品Yも製品Xと同様に新たに開発された商品であり、A社がXの開発を決めた時点で、Yの情報が全く(又はほとんど)出回っていなかったとしたらどうでしょうか。その場合、「Yの存在を知らなかったことが原因」といったところで、投資判断の時点でYの存在を知りようがないので、改善のしようがありません

「知識の不足」を原因とするのであれば、どうすれば判断時点で情報を得ることができたのかを考えるようにしましょうその方法が現実的にないのであれば、別の原因を分析したほうがよいでしょう。繰り返しになりますが、失敗は次に活かして初めて意味があります。次に活かしようがない反省をしても意味がありません。

また、「検討の不足」が原因だと結論付けるのも、慎重になった方がよいでしょう。考える時間が十分にあった場合ならいいですが、往々にして検討にかけられる時間は限られているため、検討できる事項も限られます。なので、「検討すべきだったこと」を挙げる場合には、「検討に時間を費やすべきでなかったこと」も併せて検討することで、「もっと検討の時間があれば失敗しなかったのに。」というあまり意味のない結論に至ることを避けましょう。

「重要性の誤認」は最大の学習チャンス

「重要性の誤認」が原因で失敗したケースというのは、得られる情報はちゃんと得て、十分に検討もして、やれることはちゃんとやっているのになお失敗するというケースなので、精神的にこたえます。
しかし、失敗からしか得られない教訓が得られるという点では、「重要性の誤認」ケースが最も有意義です。

上の例では、
なぜ価格よりも性能が重要だと考えてしまったのか?
高くて高性能の製品が安くて低性能の製品に勝っている例を他に見たことがあるからだとすれば、その例と比べて今回は何が違ったのだろうか?性能の差が小さかったのだろうか?それとも、価格の差が大きかったのだろうか?
特に論理的な理由はなく、自社の製品は良く見える、投資の成功を信じたい、という心理的なバイアスによるものだとすれば、そのようなバイアスを取り除いて客観的に競合と比較するためにはどうしたらよいのだろうか?
そういったことを振り返り、次の投資に活かすことができます。

勉強・調査によって「知識の不足」は補えますし、ロジカルシンキング等の方法論を身につければ漏れなく検討が行えるようになり「検討の不足」も減っていきます。しかし、「重要性の誤認」を減らすこと、言い換えれば「より正確な自分ならではの判断基準を持つこと」は、多くの決断を経て磨くことによってのみ可能となります。

なお、仮に失敗の原因が「知識の不足」や「検討の不足」にあったとしても、「重要性の誤認」の問題と仮定して、実際に判断を下したときの限られた情報と限られた時間の中で、どのように判断をしたら失敗せずに済んだかを考えてみることは、判断力を磨く上で非常に良いトレーニングになるのでおすすめです。

知識を得るには限界があります。検討を尽くすのにも限界があります。しかし、重要性の判断を磨くことに限界はありません。投資の整理にあたり、どのようなことを重視しなければならなかったのか?何は無視しても良かったのか?そのような勘どころを、失敗を経験する中で掴んでいってください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
色々理屈っぽく書きましたが、実践するときは、あまり厳密にやらなくてもいいです。(僕も何となくでやってます。)
要点としては

・失敗したら、そこから何が学べるかを考える。(いつまでも凹んでても仕方ない。)
・「もっと情報があれば」とか「もっとよく考えていれば」という反省は、意味がない場合がある。限られた情報、限られた時間の中で、どうしたらよかったのかを考えてみる。

です。

お役に立てば幸いです。

ABOUT ME
nuk
理論を学ぶだけでなく、実際に使ってみる、実践型経営コンサルタント。 東京大学法学部卒業後、キャリア国家公務員になるも、ビジネスで身を立てるため現職へ。